まず、問題視されている放送のどこに問題があるのか。放送した方の目から考えてみたい。常識なのだが、土俵は女人禁制。一般の支援者、協力者が上がったとすれば、放送は妥当であったろう。では、放送した方が、女性が救命処置をしている事を知っていたのだろうか。その事が、まったく報道されてない。その上で、放送した方ばかりを責めている。そういう報道には辟易です。何もわかっていないのに、ニュースを書くな、と言いたい。
さて、この記事を書くきっかけとなったのは、日経新聞の『救命の女性看護師「なぜ」 大相撲の場内放送に疑問』という記事です。次の様な順で説明しています。
・消防関係者とみられる男性が「動かさない方がいい」と話した。
・客席から女性が上がり、「看護師です。心臓マッサージができます」と答えた。
・女性が心臓マッサージを開始。
・その後、自動体外式除細動器(AED)を持った救急救命士に交代した。
此処には、何故消防関係者が居たのに、客だった看護師が胸骨圧迫を実施したかは掛かれていません。救急救命処置は、消防署の管轄です。しかし、その点は置いておきましょう。問題点は、もっと違う所にあります。
今回の多々見市長が倒れた原因は、既に分かっています。くも膜下出血です。くも膜下出血とは、脳と頭蓋骨の間にあるくも膜の下に動脈破裂などで出血するもの。内出血の血が、脳を圧迫してとても危険な病気です。上記の消防関係者が「動かさない方がいい」と話したのは、この状況が想定されていたと思われます。
その直後に胸骨圧迫が実施されています。そうするとどうなると思いますか。胸骨圧迫は、心臓を圧迫して、血管の血による水圧(血圧のことですが)を高めます。脳内で動脈の内出血をしているタイミングで血圧を高くするのです。この胸骨圧迫により、クモ膜下出血が悪化する。仕組みが分かっていれば至極当然のことです。
胸骨圧迫の実施は、段階を踏んで判定を行います。当然、正常に動作している心臓に胸骨圧迫を実施すると効果は無く、悪影響があるからです。そして、くも膜下出血で倒れた方に対して、その判定はどうなっていたはずか。
胸骨圧迫を実施するのは、まず声掛けに応じるかの反応を見ます。今回は、意識喪失しているので、反応はありません。次に呼吸をしているか見ます。今回は、明らかに呼吸していたはず。身体が、異常を感じているので、普段より活発な呼吸だったでしょう。その時点で、胸骨圧迫の必要性は無くなります。
実際にこの土俵では何が起こったのでしょうか。多々見市長は、幸いにも回復に向かっているといいます。良かったことです。しかし、以上の流れを見る限り、正しい処置がされていたとは思えません。怖い事です。
そうして、いつも書きますが、マスコミはどこを見て報道しているのでしょうか。こちらも信じ難い事です。
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