2018年4月21日土曜日

陸上総隊(自衛隊の組織変更)

 今月の4日に陸上自衛隊に陸上総隊が新設されたとニュースになりました。これまで完全に独立していた陸上自衛隊の方面隊を統括する部隊として設けられたものです。上陸作戦を専門とする水陸機動団が直下に設けられたことがその目的をよく表されています。外国の離島侵入に備えた訳です。

 ニュース記事を見ていると少し違和感を覚えました。まず、航空自衛隊は、航空総隊を元々持っている。しかし、海上自衛隊に相当するものは、自衛艦隊だと報道されています。海上総隊では無いのです。これは素朴な疑問だったのですが、よくよく調べて見るといろいろと疑問が出てきました。
 海上自衛隊には、陸上自衛隊の方面隊と同じ様に、地方隊というものが設けられています。Wiki「海上自衛隊」によると、自衛艦隊と横須賀地方隊は同列と説明されています。Wiki「自衛艦隊」でも、地方隊を統括するという説明は一切見られません

 もう少し調べると、横須賀地方隊の説明の中から、Wiki「地方隊」にリンクが張られていました。この地方隊の説明を見て、組織の全容が見えてきました。
 Wiki「地方隊」によると、5つの地方隊は、地方総監によって統括されている。地方総監は、防衛大臣の指揮監督を受け、海上幕僚長、自衛艦隊司令官と同等と説明されています。つまり、今回の陸上総隊に相当する、海上自衛隊の組織は、地方総監なのです。形が違うので、分かり難いのですが、機能的にそういうことなのです。
 また、嘘のニュースが駆け巡っているという訳です。海上自衛隊は、全国を自衛艦隊と地方隊の二重構造で組織されているのです。完全に理解することは簡単ではありませんが。全国の5つの地方隊が日本の海上の防衛活動をしている。自衛艦隊は、地方隊と同様に5つの地方に対し、護衛艦隊を保持している。そして、地方隊と共通の機能をも有している。これが組織の概要だと読み取れました。

 少し観点は違うのですが、もう一つ。この地方隊の管轄に違和感を覚えました。最初に疑問を思ったのは、呉地方隊の管轄に奈良県が入っている。海上自衛隊なのに、海に接していない県が管轄?そして、奈良県が管轄なのに、なんで京都府は管轄で無いのか。京都は、横須賀地方隊の管轄でした。そして、ここには、長野を始め、多くの海に接しない県も担当しています。主な任務に、防衛・警備、災害派遣の後方支援という説明がありましたので、分からなくも有りません。しかし、そこまで細かく規定する必要があるのでしょうか。要するに、有事の際に、融通が利かないために、自ら役に立たない組織だと断言している様に感じるのは、私だけでしょうか。
 それにしても、何で3つの自衛(国防)組織の構造が、こんなにバラバラなのでしょうか。不思議でなりません。今回のニュースで、シビリアンコントロールが心配だと報道されています。第二次世界大戦で日本が暴走したのは、全国を一体として強力な権力を持つ陸軍が暴走したことに発する。だから、陸上自衛隊が発足した時に、その弊害を懸念して、陸上自衛隊には、統括組織は作らなかったといいます。そう言う意識があって組織したら、自衛隊全体で一貫した組織が編成できるはずと思うのですが。

 よくよく見ると、やっぱり変であることが良く分かってきます。陸上自衛隊の分隊は方面隊と呼んでいます。それに対して、海上自衛隊は地方隊と呼んでいます。なんか違和感を感じませんか。
 地方という言葉は、海ではなく、陸上の場所を差します。だから、陸上自衛隊の分隊を地方隊と呼ぶのに相応しい名称です。それに対して、海上自衛隊の分隊を地方隊ですか? 方面隊は、どちらに使っても良いでしょう。だったら、逆が良かったと思います。どう思いますか。

 以前から、日本の法律は、行き当たりばったりでどうしようもないと解説しています。法律だけでなく、日本を構成する組織構成も同等ということでしょう。最近の、森友問題とか加計学園の問題。それに政治家や官僚のセクハラ問題が毎日の様に報道されています。そもそも、日本の体制、構成に大きな改革が必要な事は示唆しているとしか思えません。

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